稲積鍾乳洞 洞窟探検&水中ライン整備

週末は、九州 大分の稲積鍾乳洞で、TDIイントロケイブダイバーコースを開催しました。
コースのブログ記事はこちら

コースを終えて、もう一日滞在して、ケイブエクスプローラーINAZUMIの大濱さんと洞窟探検することにしました。
ベテランのケイブダイバーの大濱さんとの探検はとても楽しいもので、一年ぶりの探検にワクワクです。

なにをして遊ぶかいろいろ話し合った結果、ちょうど1年前に、大濱さんと稲積の未開ルートを探索して人類未踏エリアまで到達したのですが、そのルートをもう一度、チェックすることと、ダークプラネットから昨年攻略した未踏エリアであるフェアリーズネストまでのラインを整えようという話になりました。
ラインを整える理由は、TDIフルケイブダイバートレーニングのダイブサイトとして、トレーニングが行いやすいラインに変更するためです。

今回もふたりともCCR クローズドサーキットリブリーザーを使用して減圧効率を高めます。起伏の激しい山岳洞窟では、深度変化が大きいので深度を上げる時に余計な泡がでるのですが、それでも水中にでる泡の量が少なくなるのでオープンサーキットに比べると、パーコレーションによる濁りは減少できます。
ケイブダイビングに最適なCCRユニットが世に出てきて本当に探検が楽しい。ただし、テクニカルダイビングでは器材が壊れることを前提です。もしもトラブルがあっても、無事に水面に帰って来れることを最優先に考えます。つまり洞窟内でリブリーザーが故障して、使えなくなったとしても、水面まで帰って来れるだけのガスを確保して持ち込みします。最近では、バックアップもリブリーザーというツワモノも出てきていますが、定番はオープンサーキットで、帰れるだけの必要なガス量を持ち込みします。想定外を想定して行うことが大事なのです。

今回も必要なガス量を計算して、潜れる時間を管理します。また起伏が激しい山岳洞窟では、PO2がとても変化するので、そのコントロールが重要です。僕の使用するサイドワインダーは、m-CCRというタイプで、車でいうとマニュアル車みたいなものなので、自分のコントロールで、PO2を管理できるのがとても気に入っています。
PO2が高い方が安全であるという考え方が一般的ですが、起伏が激しく、長時間潜水となる場合は、もう少しガスと生理学について考えなくてはなりません。
しかし、分かりやすい基準をもつことで、シンプルに管理することはできるようになります。

今回は夜中から雨が降り出していました。雨が続くと稲積鍾乳洞は増水で潜れないこともあるのです。しかし、今回は、問題なく潜ることができました。
朝一から準備して、アビスオブミラクルから梯子を使ってエントリーし、スターゲイトからケイブパーマネントラインにジャンプして、ビックシャンデリア、メインストリート、そして起伏にとんだキャニオンを超え、ダークプラネットの潜降地点で、イントロケイブのラインを張りなおして、そこからジャンプ、いよいよフルケイブの深度42mのディープウエル。PN2に注視しながらいくつものアップダウンを繰り返し、サインポストが見えてきたここからは、再び40mの深度へ。このあたりはとてもシルティーです。繊細なキックと浮力コントロールで対応します。極めたフルケイブダイバーが何人も到達したシルトコーナー。私たちはさらに未踏エリアのエアドーム、フェアリーズネストを目指します。40mごえのシルトコーナーから、多少曲がりはしますが、垂直に水面まで浮上する縦穴です。フェアリーズネストのルートのほかにもいくつかのルートがあり、大濱さんは別のルートを探索、僕はフェアリーズネストのラインのチェックにいきました。

こちらが未踏のエアドーム フェアリーズネスト 水面にたたずんでいると水面に落ちる水滴の音がとてもきれいです。

1年前水面までラインを張ったのですが、水面のラインは外れていて、深度1mにタイしたところで絡んでいました。きっと大雨になると上から激流の水が流れ込むのだと思います。そのためにしっかり結んだラインが外れていたのだと思います。このラインも深度1mのところに縛りなおして整えて、大濱さんと合流しました。もし上手なケイブダイバーであれば、シルトコーナーまでは一緒に遊びに来れるかもしれません。しかしそこから先の世界は、とてもリスクの高い環境なので、ケイブCCRが扱えるベテランの探検家レベルでないとお供はできないです。CCRで泡の量は少ないはずなのに、深度15mから40mまでの帰り道は完全なゼロビジになりました。帰り道はまだ見つけられていない支洞がないかチェックしながら岐路につきました
ケイブトレーニングに適したラインにするにはまだまだ時間がかかりそうです。またの機会に続きをやりたいと思います。帰り道は、アビスオブミラクルを通過し、美しいアンダーウォーターリバーでゆとりの安全停止をを行い、デイモンズカバーンからエキジット、ゆったり潜ってダイブタイムは2時間越えの探検でした。
また稲積で次の企画をたてています。日本のケイブもまだまだロマンがつきません。

投稿者のプロフィール

株式会社インターナショナルトレーニング代表取締役DaisukeKato
ダイビング指導団体 SDI TDI ERDI JAPANの代表を務めております。小さな頃から水の中への憧れが強く、潜水部のある大学に入学しダイビングを始めました。ダイビングを始めてみると、やはり最高に楽しくて、在学中にインストラクターを取得し、卒業後は尊敬するインストラクターの所属するダイブセンターに就職しました。5年の修行を積んで、ダイブセンターを創業しました。

これまで様々なコースで2000人以上の方にダイビング指導を行い、世界各地を引率してダイビングツアーを開催しました。またテクニカルダイビングに出会い、100m潜水や洞窟や沈没船のペネトレーション(内部侵入)やリブリーザーなど様々なダイビングを楽しんでいます。いまは指導団体SDITDIERDIの代表の仕事を中心にプロコースやテクニカルコースの担当もしています。2000年からダイビングショップの経営もしています。