こんにちは。加藤大典です。メキシコに着いて二週間以上たちました。今回の目的のひとつはサイドマウントリブリーザーというユニットについてトレーニングを受けることです。
今回は、すでに扱っている『リブリーザー』『サイドマウント』の組み合わせになります。
『サイドマウントとは』テクニカルダイビングの装備のひとつにサイドマウントがあります。写真にもあるように、ダイバーの体の左右にシリンダーをとりつけます。どうしてわざわざ背中に背負えばいいシリンダーを横に着けるのかについてはまた別の機会にお話ししたいと思います。
『リブリーザーとは』一般的なダイビングユニットは、オープンサーキットと言って、呼吸したガスを吐き捨てています。この吐き出したガスを水中に捨てずに再利用するものにリブリーザーがあります。やはりこのリブリーザーも背中に背負うものが主流です。しかしなかにはサイドマウントタイプのリブリーザーもいくつかリリースされています。僕も2016年にドイツ製のSF2というリブリーザーをはじめました。この機種は、組み替えることで、背中にも背負えるし、サイドマウントにすることもできます。こちらもとても気に入っているリブリーザーです。
今回チャレンジしているユニットはKISS SideWinder Rebretherです。こちらの機種は2~3年ほど前からメキシコのセノーテでよく見かけることが多くなったリブリーザーです。つまり本場のケーブダイバーたちから評価の高いサイドマウントリブリーザーなのです。
このタイプに関心をもったのは、SF2のように左右に違うユニットが来るのではなく、左右対称のコンフィグレーションというところです。左右対称ということはバランスがよいだろうと考えました。そして普段のサイドマウントのシリンダーのふたつが、そのままディルエント(希釈ガス)であり、バックアップにもなるということです。安全面において、これだけバックアップ性があり、左右のバランスがよいことは大きなメリットです。
SideWinderはm(Mechanical)-ClosedCircuitRebretherと呼ばれるタイプです。クローズドサーキットリブリーザーは略してCCRと呼ばれています。別の種類ではSCR(セミクロースドサーキットリブリーザー)と呼ばれるものもあります。SCRはナイトロックスシリンダーひとつだけで使えるリブリーザーですが、CCRは酸素シリンダーとディルエントと呼んでいる希釈ガス(空気やナイトロックス)を水中でミックスして、効率よくダイビングを行うことができます。
その他、Side Winderを使用してみて、いいなと思ったところをざっと書きます。サイドマウントシリンダーは水に入ってから取り付ければいいので、そのほかのCCRユニットは従来のCCRと比べると軽量化されていること。二酸化炭素吸収材がふたつに分かれていることやコンピュータが独立していることで、様々なトラブルに対して対応力が高いこと。これまでのサイドマウントのコンフィギュレーションにCCRをプラスして取り付けるイメージです。ケーブやディープを行うときに必要な大容量のバックアップガスを嵩張らずにすっきりと持ち運べることなどです。
続いて注意点は、すでにサイドマウントダイビングをマスターしないといけないこと。またリブリーザー未経験者はリブリーザーダイビングもマスターしないといけないこと。装着が複雑なのでボートダイビングの際には、装着や操作について熟達していないと大変であろうこと。
すでにサイドマウントやテクニカルのトレーニングを楽しんできている方たちには、安全のためにしっかりとトレーニングを重ねていくことが楽しくて仕方ないのではないかなと思います。
いずれにせよサイドマウントが大好きなダイバーにはたまらないリブリーザーであることは間違いないです。
このユニットをトレーニング受けるために、メキシコのプラヤデルカルメンでダイビングサービスを経営するみきさんに相談して、しっかり学びたい我々に適した優秀なCCRインストラクターを探してもらいました。
みきさんが探してくれたのは、カナダ人で若干28歳のインストラクター。すごく思いやりがあり、忍耐強く、そして知識やスキルも兼ね備えた人物です。彼は、インストラクターとして6年ほど実績を積んだ後、単身メキシコにきて、たくさんのケーブ経験を積んで、いまやCCRインストラクターになっています。彼の能力や情熱、そしてマインドが高いことはもちろんですが、彼の先生(オーナー)が卓越していることも、彼がここまで短期間で高いレベルになっている理由だと思います。
日本でも若いインストラクターが夢に向かってチャレンジできる環境を作っていきたいと思いました。
KISS SIDEWINDERは、ここ数年で世界中で人気となったリブリーザーですが、今後、大きな更新を行うようです。今回、本場メキシコで、その最新の内容を吸収して、日本に帰りたいと思います。