日本の潜水事故を減らしたい。自分にできることは何か?

日本の潜水事故を減らしたい。自分にできることは何か?

ダイビングは海という自然を相手にするスポーツです。リスクがあるのは事実ですが、Cカード制度のおかげで世界的に見ても事故率は低く、交通事故や登山事故と比べても安全なレベルを保っています。

ところが近年は、コロナ禍でダイバー人口が減っているにもかかわらず、潜水事故は増加傾向にあります。突然の発作など、誰にも防げないケースもありますが、同じショップやインストラクターのもとで繰り返し事故が起きているとしたら、それは運営や安全管理の在り方に問題があるかもしれません。


事故の背景にあるもの

事故が起こる根本原因のひとつは、安全に対する知識や意識の不足です。
昔ながらの「経験と気合」でカバーするスタイルでは、長年問題がなくても、ある日突然大きな事故につながることがあります。100回大丈夫でも101回目に起こる、それがリスク管理の現実です。

だからこそ、経験に加えて体系的な知識とロジックを学び続けることが重要です。


講習中こそ最も注意すべき

安全管理には「講習中」と「ファンダイブ中」がありますが、特に講習中は受講生がまだ環境に適応できていないため、事故のリスクが高くなります。

インストラクターが受講生から目を離さないことは鉄則です。
実際には、体験ダイビングやオープンウォーターダイバー講習中に、長く目を離してしまう場面を見かけることがあります。しかし未経験者であれば、私は「5秒以上目を離すべきではない」と考えています。

これは「理想論」ではありません。私が20年以上インストラクター養成を行ってきた現場では、候補生全員が達成できています。これは「防御的安全管理」と呼べるもので、事故率を究極まで下げる有効な方法です。


プロに求められるもの

インストラクターには体力や判断力、経験といった資質が必要です。けれども、それ以上に大切なのは「安全を運営するための知識とノウハウ」を理解し、常に学び続ける姿勢です。

優れたトレーナーやコースディレクターの指導では、単なるマニュアル教育ではなく、状況判断やリスク管理の考え方を徹底的に身につけさせます。
業界全体でこれが当たり前になれば、潜水事故の多くは防げるはずです。


私にできること

私はテクニカルダイビングや探検に魅了されながらも、長年インストラクタートレーニングに携わってきました。私はテクニカルや探検のイメージが強いかもしれませんが、過去2000人以上のスポーツダイバーのトレーニングをみてきました。また最初に勤めたダイビングショップでは安全管理について徹底的に教えられ自身でも研究を重ねてきました。こういった経験からこれからも「安全管理スキルとマインドを持ったインストラクター」を一人でも多く育てることが、自分にできる最大の貢献だと思っています。

事故を減らすことは、ダイバー一人ひとりの命を守るだけでなく、ダイビング業界そのものをより良くしていくことにつながります。

自信を持ちながらも学びを忘れず、謙虚さを持ち続けるプロフェッショナル。
そうした人材を育てることこそが、これからの日本のダイビングを支える力になると信じています。


👉 潜水事故を減らすために、私にできること。それは学び続けるインストラクターを育てることです。

そしてもしあなたが、

  • これからインストラクターを目指している方

  • 今のダイビング環境に疑問や違和感を感じている方

であるなら、ぜひ一緒に安全で豊かなダイビングの未来をつくっていきましょう。

SDIに安全についてブログも書きましたのでご一読ください。

ダイビング事故が増えている本当の理由 ― 忘れられたルールを取り戻そう
沖縄 洞窟ダイビング事故から学ぶ ― ルールを守ることの大切さ ×インタビュー大原拓氏

投稿者のプロフィール

株式会社インターナショナルトレーニング代表取締役DaisukeKato
ダイビング教育機関SDI TDI ERDI JAPANの代表を務めております。小さな頃から水の中への憧れが強く、潜水部のある大学に入学しダイビングを始めました。ダイビングを始めてみると、やはり最高に楽しくて、在学中にインストラクターを取得し、卒業後は尊敬するインストラクターの所属するダイブセンターに就職しました。5年の修行を積んで、ダイブセンターを創業しました。

これまで様々なコースで2000人以上の方にダイビング指導を行い、世界各地を引率してダイビングツアーを開催しました。またテクニカルダイビングに出会い、100m潜水や洞窟や沈没船のペネトレーション(内部侵入)やリブリーザーなど様々なダイビングを楽しんでいます。いまは指導団体SDITDIERDIの代表の仕事を中心にプロコースやテクニカルコースの担当もしています。2000年からダイビングショップの経営もしています。