ダイビングインストラクターに求められる“基礎となる能力”とは

日本で3回目となる

SDI・TDI インストラクタートレーナーワークショップ開催

現在、日本では3回目となるSDI・TDIインストラクタートレーナーワークショップが開催されています。
回を重ねるごとに、日本の教育基準の質が着実に高まっていることを実感しています。


■ 今回のエバリュエーター

今回のエバリュエーターは、ニュージーランド在住のリチャード・タイラー氏。

Richard Tyler 氏は、オーストラリアの元SDI・TDI代表であり、オーストラリア最大級のダイビングショー OZTeK の主宰した人物で、まさにレジェンドです。

長年にわたり業界を牽引し、本部からの信頼も厚い、まさにSDI・TDIを体現する教育者です。


■ “古き良きSDI・TDI”の精神

個人的には、かつてアジア地区を統括していた Paul Montgomery氏 と通じる、温かく親切なオーラを感じました。

厳格でありながら高圧的ではなく、基準を守りつつ人を育てる姿勢。
それこそがSDI・TDIの本質だと改めて実感しています。

世界中にいる素晴らしい専門家と共に仕事ができることは、いつも大きな刺激であり、誇りです。

昨日は候補生のみなさんにウォーターマンスキルを行いました。

インストラクタートレーナーエバリュエーターのリチャードタイラーさん

スキーの世界では、インストラクターといえば
「デモンストレーションが美しいのは当たり前」
という共通認識があります。

滑りを見れば、その指導力がわかる。
それがプロとしての信頼の土台です。

では、ダイビングインストラクターはどうでしょうか。


■ ダイビングインストラクターも“スポーツインストラクター”

ダイビングはレジャーでありながら、
明確に マリンスポーツ の一つです。

だからこそインストラクターには、

・水中での圧倒的な安定感
・美しく正確なデモンストレーション
・余裕のある動き
・トラブル時に即応できる身体能力

こうした ウォーターマンスキル が常に維持されていることが求められます。

これは特別なことではありません。

むしろ
「海で人の安全を預かるプロとして当然の条件」
なのです。

事故ダイバーを想定した曳航能力の測定
リチャードさんも一緒にトレーニング 楽しい雰囲気が最高です。

■ なぜ体力や水中能力が重要なのか

ダイビングは、通常の状況では
極端な体力を必要とする活動ではありません。

しかし、インストラクターは違います。

私たちは
海の中の“最後の安全装置” です。

想定外の状況が起きたとき、

・パニックダイバーを支える
・流れの中で救助する
・長距離を曳航する
・機材トラブルを瞬時に解決する

これらを行うには、知識だけでは不十分です。

「身体が動くこと」
これが絶対条件になります。

サバイバルフロート これはコースディレクターやインストラクタートレーナーが開催するインストラクターデベロップメントコースで候補生に行うスキル 提供するインストラクタートレーナーも同等の能力が求められます このような時もユーモア満点のリチャードさん

 


■ SDI・TDIが大切にしていること

SDI・TDIのインストラクターコースでは、
本来あるべきプロの姿として、

ウォーターマンスキルの達成と維持
を必須要素としています。

これは決して
「厳しいからふるいにかける」
という考えではありません。

むしろ逆です。

それは、

本当に信頼されるインストラクターを育てたい
インストラクター自身が誇りを持てる資格にしたい

という理念から来ています。


■ “なりやすい資格”より、“なりがいのある資格”

世の中には、比較的短期間で取得できるインストラクター資格もあります。

しかしSDI・TDIは、

・現場で本当に通用する力
・世界中で信頼される実力
・安全文化を支える責任感

これらを大切にしています。

だからこそ、

資格を取った瞬間から“プロとして胸を張れる”

そんなインストラクターが育つのです。

SDIインストラクターは水平姿勢でのダイビングスキルのデモンストレーションが必須です

■ だからこそ、目指す価値がある

ウォーターマンスキルの維持が求められると聞くと、

「大変そう」
と感じる人もいるかもしれません。

しかしそれは裏を返せば、SDIは

自分自身が一生ダイバーとして成長し続けられる環境

ということでもあります。

そして何より、

「この人に任せれば大丈夫」

と心から信頼される存在になれる。

それこそが、SDI・TDIインストラクターの最大の価値です。

深度1m 安定してスキルを行うには最も難しい深度 このような環境でも安定のスキルをデモンストレーションしています

■ インストラクターは、憧れられる存在であるべき

水中での美しい姿勢。
余裕のある動き。
確かな安全管理能力。

それを見たダイバーが、

「いつかああなりたい」

そう思える存在。

それが、本来のインストラクターの姿だと私たちは考えています。


ダイビングを教えるのではなく、文化を伝える仕事

インストラクターとは単なる技術指導者ではありません。

安全文化を守り、
海への敬意を伝え、
次世代のダイバーを育てる存在です。

だからこそSDI・TDIは、
その責任にふさわしい基準を大切にしています。

そしてそれは、

厳しさではなく、誇りです。

投稿者のプロフィール

株式会社インターナショナルトレーニング代表取締役DaisukeKato
ダイビング教育機関SDI TDI ERDI JAPANの代表を務めております。小さな頃から水の中への憧れが強く、潜水部のある大学に入学しダイビングを始めました。ダイビングを始めてみると、やはり最高に楽しくて、在学中にインストラクターを取得し、卒業後は尊敬するインストラクターの所属するダイブセンターに就職しました。5年の修行を積んで、ダイブセンターを創業しました。

これまで様々なコースで2000人以上の方にダイビング指導を行い、世界各地を引率してダイビングツアーを開催しました。またテクニカルダイビングに出会い、100m潜水や洞窟や沈没船のペネトレーション(内部侵入)やリブリーザーなど様々なダイビングを楽しんでいます。いまは指導団体SDITDIERDIの代表の仕事を中心にプロコースやテクニカルコースの担当もしています。2000年からダイビングショップの経営もしています。